体の拡大を「ベクトル空間として測る」ことから出発し、代数的元と最小多項式、分離性、分解体と正規性、有限体を順に整える。そのうえで、拡大の対称性を群として捉えるGalois群とArtinの固定体定理を示し、Galoisの基本定理(中間体と部分群の反転対応)を証明する。後半は円分体、定規とコンパスによる作図可能数、根号による可解性と一般五次方程式の非可解性へ進み、対称性の言葉で方程式の解の様子を判定する。前提は群論(220)と環・多項式環(225)の初歩である。
体の公理と計算法、複素数と係数体の取り替えを確認したうえで、体の拡大 $L/K$ を $K$ 上のベクトル空間として見て、拡大次数 $[L:K]$ を定義する章である。塔の法則 $[L:K]=[L:E][E:K]$ を基底の積で証明し、$\mathbb Q(\sqrt2,\sqrt3)$ が 4 次であることなど具体的な次数計算に使う。以後の章で「次数」が最も基本的な道具になる。
体 $K$ 上の元 $\alpha$ が多項式の根になるか(代数的)ならないか(超越的)を、$K[x]\to L$ の核で分ける章である。代数的元の最小多項式、一つの根を添加した単純代数拡大、多項式環の商による体の構成、埋め込みと共役元、代数拡大と代数閉包を順に扱う。「方程式の根を新しく作る」操作と、根の選び方が体準同型を決めることが中心である。
多項式が重根をもつかどうかを、形式微分を使って係数から判定する章である。形式微分と重根の関係、分離多項式と分離拡大、標数 $p$ で起こる非分離拡大($x^p-t$ など)を扱う。標数 0 や有限体では分離性が自動的に成り立つ一方、標数 $p$ の関数体では崩れうることを、反例で確かめる。
多項式のすべての根を含む最小の体として分解体を作り、その存在と同型を除いた一意性を示す章である。続いて正規拡大(一つの根を含めば共役な根もすべて含む拡大)を分解体で特徴づけ、有限分離拡大が単純拡大になる原始元定理を証明する。分離性(第3章)と正規性を合わせたものがGalois拡大の条件になる。
時計の計算で割り算ができる条件から、素数を法とする有限体 $\mathbb F_p$ を再確認し、位数 $p^n$ の有限体の存在と一意性を示す章である。$x^q-x$ の分解体による構成、乗法群が巡回群になること、部分体の分類、Frobenius 自己同型と有限体のGalois群、既約多項式の個数を順に扱う。「有限で完結した世界」でGalois理論の全体像を先に見る。
拡大の自己同型全体をGalois群とし、体と群を逆向きに結ぶ本巻の中心の章である。自己同型群と固定体、体準同型の独立性、Artinの固定体定理を準備し、Galoisの基本定理(中間体と部分群の反転対応、正規部分群と正規拡大の対応)を証明する。後半は二次・双二次拡大と三次多項式と $S_3$ を具体的に計算し、最後に総合問題で全体を確認する。
1 の冪根から作る拡大として円分体を導入し、円分多項式 $\Phi_n$ の整数係数性と既約性、Galois群が $(\mathbb Z/n\mathbb Z)^\times$ に同型であることを示す章である。$\mathbb Q(\zeta_n)$ の部分体が Galois対応でどう現れるかを、具体的な $n$ で確かめる。円分体はAbel拡大の基本例であり、第8章の作図と数論への入口になる。
定規とコンパスで作図できる長さを体の拡大で特徴づける章である。作図可能数が 2 の冪次の塔をなす体に入ることを示し、その帰結として作図できない長さを見分ける方法を与える。さらに正 $n$ 角形が作図できる $n$ を決め、正七角形と正五角形を比較する。
方程式が根号で解けることを「Galois群が可解群である」ことと同値に言い換え、一般五次方程式の非可解性を示す章である。根号拡大の構成、1 の冪根を含むときの一段の拡大の循環性、根号可解性と可解群の両方向の証明、対称群 $S_5$ が可解でないことから一般五次方程式が代数的に解けないことを導く。
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