核だけが違う二つの入力を同じものとみなしたら、像と一対一に対応するだろうか。
このページでできるようになること
第一同型定理で、定義域を失われる情報で割った空間と像を同一視できるようになる。
商空間は、核に沿った違いを無視します。その結果、もとの非単射な写像は像への単射な写像になります。
剰余類 $x+\ker T$ を $T(x)$ へ送る写像を作り、well-defined・単射・全射を順に示す。
線形写像 $T\colon V\to W$ に対し
$$
\overline T\colon V/\ker T\to\operatorname{im}T,
\qquad
v+\ker T\mapsto T(v)
$$
は線形同型である。
$v+\ker T=v'+\ker T$ なら $v-v'\in\ker T$ なので $T(v)=T(v')$。よって代表元に依らない。商の演算と $T$ の線形性から $\overline T$ は線形。
$\overline T(v+\ker T)=0$ なら $v\in\ker T$ なので類は零。よって単射。像の任意の元は定義により $T(v)$ と書け、$\overline T(v+\ker T)$ に等しいので全射。したがって同型である。
$D\colon K[t]_{\le3}\to K[t]_{\le2}$ の核は定数多項式で、像は全体です。したがって
$$
K[t]_{\le3}/K\cong K[t]_{\le2}.
$$
「定数だけ異なる多項式を同じものとみなせば、微分は一対一になる」という意味です。
有限次元なら同型から
$$
\dim(V/\ker T)=\dim\operatorname{im}T.
$$
左辺は $\dim V-\dim\ker T$ なので次元定理が得られます。第一同型定理は次元の等式だけでなく、空間そのものの構造を示します。
核より大きい部分空間を潰すと、異なる出力をもつ入力まで同一視して写像がwell-definedでなくなる。核より小さい部分だけを潰すと非単射性が残る。核がちょうど必要な部分である。
$T\colon\mathbb{R}^2\to\mathbb{R}$、$T(x,y)=x+y$ に第一同型定理を適用せよ。
$\ker T=\operatorname{span}\{(1,-1)\}$、像は $\mathbb{R}$ 全体。よって
$$
\mathbb{R}^2/\operatorname{span}\{(1,-1)\}\cong\mathbb{R}.
$$
同型は $(x,y)+\ker T$ を $x+y$ へ送る。
次はベクトルを数へ送る線形写像を集めた双対空間を調べます。
「入力をまとめる」と「出力だけを見る」が同じ操作になった。次元定理の構造的な意味が見える。
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