$$\newcommand{AA}[0]{\mathscr{A}}
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$$
読み始める前の問い
部分空間で見つけた座標軸を、周囲の空間でもそのまま使い続けられるだろうか。
このページでできるようになること
独立な列を全空間の基底へ延長し、部分空間の次元を比較できるようになる。
部分空間の中で独立な方向は、空間全体の座標軸の一部として採用できます。これが基底延長定理です。
証明を読む前の見取り図
線形包の外から一本ずつ追加し、交換定理が保証する有限回の停止時に生成性を得る。
基底延長定理
$V$ を有限次元ベクトル空間とする。$V$ の任意の線形独立な列 $v_1,\ldots,v_r$ は、有限本のベクトルを追加して $V$ の基底にできる。
すでに $V$ を生成するなら基底である。生成しないなら、その線形包の外から $v_{r+1}$ を選ぶ。新しい列が従属なら $v_{r+1}$ は前の列の線形結合となり、選び方に反するので独立である。同じ操作を続ける。独立な列の長さは交換定理により $\dim V$ 以下だから、有限回で追加できなくなる。そのとき線形包が $V$ 全体でなければさらに追加できるので、停止時には生成しており基底である。
証明を読む前の見取り図
線形包の外から一本ずつ追加し、交換定理が保証する有限回の停止時に生成性を得る。
部分空間の次元
$W\subset V$ が有限次元空間の部分空間なら
$$
\dim W\le\dim V.
$$
等号が成り立つことと $W=V$ は同値である。
$W$ の基底は $V$ の独立な列なので、基底延長定理で $V$ の基底へ延長できる。よって本数は増えるか等しい。等号なら追加するベクトルがなく、$W$ の基底が $V$ も生成するので $W=V$。逆に $W=V$ なら両者は同じ空間だから、その次元も等しい。
方程式で定まる平面
$W=\{(x,y,z)\mid x+y+z=0\}$ では
$$
W=\operatorname{span}\{(-1,1,0),(-1,0,1)\}
$$
で、二本は独立だから $\dim W=2$。この二本へ、たとえば $(1,0,0)$ を加えると $\mathbb{R}^3$ の基底になります。
延長は一意でない
$(1,0)$ は $(1,0),(0,1)$ にも $(1,0),(1,1)$ にも延長できる。基底延長定理は存在を保証するが、追加部分の標準的な選び方は一般に与えない。
基底延長
$\mathbb{R}^3$ の独立な列 $(1,1,0),(0,1,1)$ を基底へ延長せよ。
解答
$(1,0,0)$ を加える。三本を列に並べた行列の行列式は1で非零、または消去で三列すべてに主成分が現れるので独立であり、三次元空間の基底である。
次は二つの部分空間を合わせたとき、重複する次元をどのように差し引くかを調べます。
このページで回収したもの
局所で選んだ独立方向を全体座標へ組み込める。補空間・商空間・次元定理の基礎になる。
次へ持ち越す問い
この見方を、次のページではより広い対象またはより計算しやすい形へ移す。